【ハッ!見聞録】No.2
更新日:2019年11月12日
『持続可能性』のエコ・カー、現る
制作部のH.Aです。
久しぶりに東京モーターショーに行ってきました。若い頃には何度か足を運びましたが、最近は足が遠のいてました。しかし、ここ何年かニュースで『モーターショー自体が盛り上がりに欠けている』とか、あまり良いニュースを聞かなかったので、現状を把握したいという気持ちあって、のぞいてみることにしました。
全体的には未来の環境を意識したコンセプトでした。ディーゼルとのハイブリッド、水素エンジンとのハイブリッドとかもう少しで実際に販売されそうな車、空飛ぶ車(バイクっぽい)のモックアップなど、色々なハイブリットや自動運転の自動車などが目立ちました。
会場は東京ビッグサイトと青海会場の2箇所に分かれていました。移動はやや面倒でしたが、青海会場で今回のもう一つの大きな目的の車に会うことが出来ました。
“環境省初出品の車”です。2種類のエコ・カーが展示されていました。
ひとつは『AGV(All GaN Vehicle)』と呼ばれており、次世代の半導体素材「窒化ガリウム(GaN)」を車内各機器に応用した超省エネ電気自動車です。従来よりもCO2排出量を約20%削減することを目標としているそうです。窒化ガリウムを用いたUSB急速充電器など、既に売られていますよね。車自体はなかなか斬新な見た目だし、深い青色のボディカラーも印象的でした。
もうひとつは、次世代素材CNF(セルロースナノファイバー)を用いて製作されたコンセプトカー、『NCV(Nano Cellulose Vehicle)』です。CNFとは木材から取り出したパルプに対して化学的、機械的処理を施して、線維をナノレベルまで細かくほぐした素材です。
このブースでは、我々も推進しているSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))のバッチを付けた担当説明員の方に、少し話をうかがわせてもらいました。
鋼鉄の5分の1の軽さで、5倍以上の強度を誇るといわれているCNFは、合成樹脂の補強剤として活用されているガラス繊維と比べ熱による変形が少なく、リサイクルする際にもう一度細かくほぐして再利用しても、強度が保たれるのだそうです。特に直径が数ナノメートル単位の微小な大きさのものだと高い透明性を持ったり、液体との混合で粘性が増すなど、大きさによって異なる性能が発現するといった特性があります。様々な分野に可能性をもった次世代素材だということがわかり、興味深い話で大変おもしろかったです。
「見た目が今どきのランボルギーニのスタイルの流れだなぁ」とか最初は外見に目が行きがちでしたが、車体の様々な部分で環境問題を考慮して各種企業の方々が造り上げた、素晴らしいコンセプトのクルマだということがわかりました。植物という天然由来の素材が元であるNCVは、未来における車社会と環境問題との共存のあり方のひとつだと思います。
SDGsを推進していこうとする世界的な動きのある中、アメリカのパリ協定離脱宣言など残念なニュースもあります。
このNCVという素材で日本が率先して“持続可能性の未来”を切り開いていけると信じたいです。
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